目か三度目の稽古《けいこ》のおり、子供は不意ににやりと笑った。
「どうしたんだ?」と、眼鏡ごしにいかつく子供をにらみながら、グリゴリイが問いただした。
「なんでもありません。神様が世界をお創《つく》りになったのは初めの日でしょう。それだのにお日様やお月様やお星様ができたのは四日目じゃありませんか。はじめての日にはどこから明りが映したのです?」グリゴリイは立ちすくんでしまった。少年はあざけるように教師を見やった。その眼眸《まなざし》にはどこか高慢ちきなところさえうかがわれた。グリゴリイはとてもこらえきれなかった。『そうら、ここからだ!』とどなりざま、猛烈に教え子の頬桁《ほおげた》をなぐりつけた。子供は黙ってその折檻をこらえていたが、またもや幾日かのあいだ隅っこへ引っこんでしまった。ところが、ちょうどそれから一週間たって、彼の一生の持病となった癲癇《てんかん》の兆侯がはじめて現われた。このことを聞くと、フョードル・パーヴロヴィッチは突然この子供に対する態度を一変したようである。それまで彼は、一度も叱りつけるようなこともなく、出会うごとに一カペイカずつくれてやったり、機嫌のいいおりには食卓へ
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