「スメルジャコフだけが知ってるんですね!」
「あいつだけだよ。もし女が老いぼれのところへ来たら、あいつが知らせる手はずなんだ」
「金包みのことを兄さんに話したのもあの男ですね?」
「あいつさ。だがこれは絶対の秘密なんだよ。イワンにさえ、金のことはおろか、なんにも知らしてないんだから。ところで、親爺は二、三日のあいだ、イワンをチェルマーシニャへやろうとしているんだよ。森の買い手がついて。なんでも八千ルーブルとかで木を切り出させるんだとさ。それで親爺は、『手助けをするつもりで、行って来てくれ』と、イワンを口説《くど》いているところだが、二、三日はかかる用事なんだ。これはつまり、イワンの留守にグルーシェンカを引き入れようという肚だよ」
「それじゃ、お父さんは今日にも、グルーシェンカが来るかと待ってるわけですね」
「いや、あの女は今日は来ない。ちゃんと徴候があるんだ。きっと来やしないよ!」と、突然、ミーチャは叫んだ。「スメルジャコフもそう考えてるのさ。親爺は今イワンと差し向かいで酒を飲んでいるんだよ。ひとつ出かけて三千ルーブルもらって来てくれないか……」
「ミーチャ、兄さん、どうなすったの!」
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