と、アリョーシャは床几から飛び上って、逆上したようなドミトリイ・フョードロヴィッチの顔を見つめながら叫んだ。一瞬間、彼は兄が気ちがいになったのではないのかと思った。
「おまえこそどうしたんだい? おれは気は確かなんだよ」こう、じっと、妙にきまじめな色さえ浮かべて、弟の顔を見つめながら、ドミトリイ・フョードロヴィッチが言った。「なるほど、おれはおまえに親爺のところへ使いに行ってもらおうとしているが、自分のしゃべってることはちゃんとわかっているよ。おれは奇跡を信じているから」
「奇跡を?」
「うん、神慮の奇跡をさ。神様にはおれの胸の中がよくおわかりだ。神様はおれの絶望を見ぬいていてくださる。この画面を残らず見通しておいでになるのだ。神様が、何か恐ろしいことのもちあがるのをみすみす見のがしておおきになるだろうか? アリョーシャ、おれは奇跡を信じるよ。さあ行って来てくれ!」
「じゃ行って来ます。で、兄さんはここに待っててくれますね?」
「待ってるとも、多少時間のかかることはわかってるし、そういきなり切り出すわけにもいくまいからさ! それに今ごろは酔っぱらっているだろうし。待ってるよ、三時間でも
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