めだったのだ。この三千ルーブルをポケットへ入れたまま、おれはその時グルーシェンカのところへ出かけたのだ。そしてその金でモークロエ村へ出かけたわけだ。あとで、おれは、さも市《まち》へ飛んで行ったようなふりをして、為替の受け取りも出さないで、金は送ったから受け取りもすぐ持って来るとは言いながら、いまだに持ってなぞ行かないでいるのさ。忘れましたってわけでね。そこでどうだろう、これからおまえが行ってあの女《ひと》に、『兄がよろしく申しました』と言ったら、あの女は『で、お金は?』って聞くだろう。そうしたら、おまえはこんな風に言ったってかまわないよ、『兄は卑劣な好色漢です、欲情を押えることのできない下等動物です。兄はあの時あなたの金を送らないで、下等動物の常として衝動に打ち勝つことができないで、すっかり使ってしまったのです』が、しかし、こう言い足したっていいわけだよ。『それでも兄は泥棒ではありません、そら、ここにあなたの三千ルーブルがあります。どうぞ御自身でアガーフィヤ・イワーノヴナへお送りください。で、当の兄は、よろしくと申しました』するとあの女は『どこにお金がありますの』って聞くだろうな」

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