んだ。入用だったのはみんなで四千五百ルーブルだけれど、五千ルーブルの手形を売るのには二百ルーブルあまり損をしなければならなかったのだ。よくは覚えていないが、おれの手もとへ返してよこしたのは、みんなで二百六十ルーブルくらいのものだった。しかも金だけで一片の手紙もなければ一言の説明もしてないのだ。おれは包みの中に、何かちょっと鉛筆で印しでもつけてないかと思って、捜してみたが――なんにもない! そこでしようことなしに、おれはその残金でまた遊蕩を始めたものだからとうとう新任の少佐も余儀なくおれに譴責《けんせき》を食わしたほどだ。とにかく、中佐は無事に官金を引き渡したので、みんなはびっくりしてしまったのさ。だって、そんな金がそっくり中佐の手もとにあろうとは、誰ひとり予想もしなかったからなあ。引き渡しはしたが、どっと病みついて、三週間ばかり床についていたが、突然、脳の軟化症を起こして、五日目に亡くなってしまった。まだ退役の辞令を受けていなかったため、軍葬の礼をもって葬《ほうむ》られた。カテリーナ・イワーノヴナは姉や伯母といっしょに、父の葬《とむら》いが済み次第、十日ばかりして、モスクワへ立ってしま
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