この事件に関してまるで潔白な天使のようにふるまったとのことだ。高慢な妹カーチャを真から崇め、鞠躬如《きっきゅうじょ》として小間使いのように仕えてたんだ……。それでもアガーフィヤはこの一件を、つまりおれとの話をそのおり当人に話したのだ。おれはあとでそれを、一から十まで聞いてしまったが、この娘は隠しだてをしなかったよ。そこがまた、おれの思うつぼなのさ。
突然、新任の少佐が大隊を受け取りにやって来たんだ。事務の引き継ぎが始まった。と、老中佐が急に病気で、動くことができないといって、二昼夜というもの家の中に閉じこもったきりで、官金の引き渡しをしないのだ。医者のクラフチェンコも、全く病気に違いないと断言した。おれが秘密にとうからかぎ出していた確かなところでは、この金はもう四年も前から、長官の検閲が終わり次第、暫時のあいだその姿を消すことになっていたのだ。中佐はその金を、最も手堅い男に貸しつけていたのだ。それはトリーフォノフという町の商人で、金縁眼鏡をかけた。髭《ひげ》むじゃの、年をとった鰥《やもめ》なのだ。この男は定期市へ出かけて行って、何か必要な取り引きを済ますとすぐに帰って来てその金を耳を
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