そろえて中佐に返したうえ、定期市の土産物《みやげもの》まで持って来るのだ。土産に利子が添えてあるのはいうまでもない。それが今度に限って(おれはそれを全く偶然にトリーフォノフのあと取り息子のよだれ小僧から聞いたのだ。こいつは世界じゅうにも類のない放埒息子なんだ)、今度に限って、トリーフォノフは定期市から帰っても、なんにも返さないどころか、中佐が飛んで行くと『わたしは、ついぞあなたから一文だってお借りした覚えはありません、それにお借りできるはずがありませんよ』という挨拶だ。そんな次第で中佐は家に閉じこもってしまったわけだ。タオルで頭にはち巻きをさせて、三人の女が総がかりで脳天を氷で冷やすという騒ぎだ。そこへ突然、伝令が帳簿と『即刻、二時間以内に官金を提出すべし』という命令を持って来たのだ。で、中佐は署名をしたが、――後でおれはその帳簿の中の署名を見たよ――それから起き上がると、軍服に着換えに行くのだと言って、自分の寝室へ駆けこみ、二連発の猟銃を取って火薬を装填《そうてん》して兵隊用の弾丸をこめると右足の長靴を脱いで、銃口を胸へ当て足で引金を探りにかかったのだ。ところが、アガーフィヤはおれの
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