な希望があるにしても、現金としては少しもなかったのだ。だが、その女学院出の令嬢が帰って来た(ほんのしばらく滞在するだけで、ずっとというわけではなかったが)時には町じゅうがまるで面目を一新した観があったよ。一流の貴婦人たち――将官夫人が二人と大佐夫人が一人、それに婦人という婦人が、猫も杓子《しゃくし》も加勢して、四方から令嬢を引っ張り凧《だこ》にして御機嫌を取りにかかった。令嬢はたちまち舞踏会やピクニックの女王になってしまい、どうかした保母たちの救済だと言って、活人画の催しまであった。おれは黙って飲み回っていたが、ちょうどその時分おれは町じゅうが騒ぎ立てるようなひどいことをやっつけたんだ。一度その令嬢がおれをじっと眺めたことがあるんだ。それはある砲兵隊長のところでの話だ。だがその時おれはそばへも寄らなかったよ。お近づきになるなんてまっぴらだといった態《てい》でさ。おれがこの令嬢のそばへ近寄ったのは、それからかなり後のある夜会の席だったが、話しかけてみたんだけれど、ろくにこちらを見向きもしないで、軽蔑したように口をきっと結んでいるじゃないか。ようし、と、おれは肚《はら》の中で思ったんだ、今
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