なく、むしろそれをおもしろがっていたが、それでも一生懸命にすべての事実を否定し続けた。彼がこの捨て子を引き取ったということは、町の人の気に入った。後になって、フョードル・パーヴロヴィッチはこの孤児のために、苗字まで作ってやった。それは母親のあだ名の『悪臭ある女』から取って、スメルジャコフとしたのである。このスメルジャコフが成人して、フョードル・パーヴロヴィッチの第二の下男として、この物語の初めのころ、老僕グリゴリイ夫婦と共に、傍屋《はなれ》に住んでいたのである。彼は料理番として使われていた。この男についても、何かといろいろ述べておく必要が大いにあるのだが、こんなありふれた下男どものことに、あまり長く読者の注意を引き止めるのもいかがと思われるから、スメルジャコフに関しては、このさき物語の進展につれて、おのずから明瞭になることを期待して、ひとまず前の続きに移ることにしよう。

   三 熱烈なる心の懺悔――詩

 アリョーシャは、父が修道院からの帰りぎわに馬車の中から大声をあげて命令したことばを聞いて、しばらくのあいだひどく当惑して、その場に立ちつくした。しかし別段、棒立ちに立ちすくんだわ
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