て三人ばかり追いはぎを働いた事実はまだ人の記億に新しかったからである。しかしこうした事件や風説は、哀れな信心気ちがいに対する町の人たち一般の同情を殺《そ》がなかったばかりか、人々はますます彼女を大事にかけて保護するようになった。ある裕福な商家の孀《やもめ》でコンドラーチエワという女は、まだ四月の末ごろからリザヴェータを自分の家へ引き取って、お産の済むまでは外へ出さないように取り計らったほどである。家人は夜の目も寝ずに彼女を見張っていたが、結局その苦心のかいもなく、リザヴェータは最後の日の夕方、突然、コンドラーチエワの家をこっそり抜け出して、フョードル・パーヴロヴィッチの家の庭に姿を現わしたのである。ただならぬ体の彼女がどうして高い堅固な庭の塀を乗り越えたかということは、一つの謎《なぞ》として残っている。ある者は誰か人に助けられたのだとも言うし、またある者は何か精霊《もののけ》が運び入れたのだと言った。が、何より確からしいのは、それがきわめてむずかしいことであるけれど、自然な方法で行なわれたという説である。つまりリザヴェータはよその菜園へはいって寝るために、籬を越すことがじょうずであった
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