ような傲然《ごうぜん》たる態度で、そんなことはとうてい不可能だと答えた。しかしこの一行の中に偶然居合わせたフョードル・パーヴロヴィッチがすぐ前へ飛び出して、女として遇することができる、大いにできる、しかも独特なある妙味さえある云々《うんぬん》、と断言した。実際そのころの彼は、わざと道化の役を引き受けて、どこへでも出しゃばって、みんなをおもしろがらすのが楽しみであった。で、見かけは対等のつきあいでも、その実一同にとっては全然|下種《げす》下郎にすぎなかった。それはちょうど、彼が先妻のアデライーダ・イワーノヴナの訃報《ふほう》を、ペテルブルグから受け取ったばかりのころであったが、しかも彼は帽子に喪章をつけたまま、飲み歩いたり、醜態の限りを尽くしていたので、この町で最もひどい放蕩者でさえ、彼を見ると、眉《まゆ》をひそめるくらいであった。一行はむろんこの突飛な意見を聞くと、げらげら笑った。そしてその中の一人などは、フョードル・パーヴロヴィッチの尻押しをしにかかったほどであったが、他の連中は、やはりなお、並はずれの陽気さは失わなかったけれど、いっそう頻繁にぺっぺっと唾《つば》を吐《は》いた。そし
前へ
次へ
全844ページ中280ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング