くことができないで、ただときどき妙に舌をもつらせて、ムムとうなるだけであった――こんな風では、見得も外聞もあったものではない。さてある時こんなことがあった。(だいぶん以前の話だが)明るくて暖かい九月のある満月の夜、この町でいえばだいぶん遅い刻限に、遊び疲れてしたたか酔っ払ったこの町の五、六人の紳士の群れがクラブから『裏町』づたいに家路をたどっていた。路地の両側には籬が連なって、その後ろに隣接した家々の菜園が続いていた。その路地は、この町で時によっては川と呼んでいる、臭い細長い水たまりに掛け渡した板橋のほうへ抜けていた。さてこの一行が、籬の蕁麻《いらくさ》や山牛蒡《やまごぼう》の中に眠っているリザヴェータの姿を見つけたというわけである。酩酊《めいてい》した連中はげらげら笑いながら、そのそばに立ち止まると、口から出まかせに猥褻《わいせつ》な冗談を言い始めた。と、突然一人の若い紳士が、まるでお話にもならぬ奇矯《ききょう》な問題を考えついた。『誰かこの獣を女として遇することができるだろうか。さあ、今すぐにでもできる者があるかしら』云々《うんぬん》、というのであった。人々はさもけがらわしいという
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