別な身ぶりで『ロシア踊り』を踊った。それは女房どものような田舎臭いものと違って、彼女が富裕なミウーソフ家で女中をしていたころ、モスクワから招聘《しょうへい》された舞踊の師匠が踊りの振り付けをした同家の家庭劇場で、彼女もいっしょに踊ったその踊り方であった。グリゴリイは妻の踊りを黙って見ていたが、一時間の後、自分の小屋へ戻ると、彼女の髪をつかんで少し引き回して彼女をこらしめた。しかし折襤はその時限りで、生涯二度とくり返さなかった。それに、マルファ・イグナーチエヴナも、それきりふっつりと踊りを絶ってしまった。
二人のあいだには子供が授からなかった。もっとも赤ん坊が一人生まれたが、それもすぐ死んでしまった。グリゴリイは明らかに子供好きで、またそれを隠そうともしなかった。つまりそれを口に出すのを恥ずかしがらなかったのである。アデライーダ・イワーノヴナが出奔したとき、彼は三つになったばかりのドミトリイ・フョードロヴィッチを自分の手もとへ引き取って、ほとんど一年のあいだその世話を焼き、自分で髪を梳《と》かしてやったり、たらいで行水を使ってやったりした。ついでイワン・フョードロヴィッチとアリョーシャ
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