で毎回お説教を聞かせるのが常であったが。しかしフョードル・パーヴロヴィッチも、打ったりなぐったりされるだけなら、さして恐ろしくもなかったはずだが往々、極端な、ときにはむしろ複雑微妙な場合さえよくあったので、フョードル・パーヴロヴィッチは誰か忠実な人間を自分の身辺に置きたいというただならぬ要求を、突然不思議にも瞬間的に心に感じるのであった。しかも彼自身でさえ、その理由を明らかにすることはできなかった。それはほとんど病的といってもいい状態であった。放埒《ほうらつ》きわまりなく、しかもその淫欲のためにはしばしば、害悪な虫けらのように残忍非道なことをしてのけるフョードル・パーヴロヴィッチが、ときどき、酔っ払ったおりなどに、不意と心の中に精神的の恐怖と、非道徳的な震駭《しんがい》を感じるのであったが、それはほとんど生理的に彼の魂に反応した。『そんなときわしは、魂が咽喉《のど》の辺で震えておるような気持だ』彼はときにこんなことを言い言いした。こういう瞬間に彼は、自分に信服した、しっかりした男が自分の身近に、同じ部屋の中ではなくても、せめて傍屋《はなれ》のほうにでもいて欲しかった。その男は、けっして
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