をわしにたてつかせたのもあんたがたじゃ。七つの会議でわしをのろって、近在を触れまわしたのもあんたがたですぞ! もうたくさんだ、今は自由主義の時代だ、汽車と汽船の世の中だ。千ルーブルはおろか、百ルーブルも、百カペイカも、なんの、一カペイカだってあんたがたにあげるものか!」
またここで断わっておくが、けっしてこの修道院が彼の生涯に特別な意味を持ったこともなければ、彼がそのために苦い涙を流したこともありはしないのである。しかし彼は自分で自分の作り涙にすっかり感動してしまって、一瞬のあいだ自分でもそれを信じないばかりの気持になったのである。そればかりか感激のあまり泣きだしそうにさえなったくらいだが、それと同時に、もうそろそろお神輿《みこし》をあげるころあいだと感じた。修道院長はその意地の悪いでたらめに頭を下げて、再び威圧するように言った。
「また、こうも言ってあります。『なんじの上に襲いかかる凌辱《りょうじょく》をばつとめて耐え忍び、かつなんじを汚す者を憎むことなく、みずからの心を迷わしむるなかれ』われわれもこの教えのとおりにいたしております」
「ちぇっ、ちぇっ、ちぇっ、ちんぷんかんな寝言と
前へ
次へ
全844ページ中255ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング