、すっかり顔の色をなくして、憤りのために唇をゆがめながら、いきなり、かみつくように言った。イワンはだしぬけに、声を立てて笑いだしたかと思うと、席を立った。彼は帽子を手にしていた。
「おまえは勘違いしてるよ、アリョーシャ」と言って、彼はいまだかつてアリョーシャの見たことのないような妙な表情を浮かべた。それは若々しいまじめさと、押さえることのできないほど力強い、露骨な感情の表われであった。「カテリーナさんはけっして僕を愛したことなんかありゃしないよ。一度も、口に出して言ったことはないけれど、僕がカテリーナさんを愛してるってことは、御自分でちゃんと承知していたんだ。ところが、僕を愛してはいなかったんだよ。また僕は一日だって、この人の友だちだったこともないんだ。気位の高い婦人は、僕なんかの友情を必要としないからね。この人が僕をそばへ引き寄せたのは、ひっきりなしに復讐《ふくしゅう》をしたいためだったのさ。はじめて会ったとき以来ずっと、ドミトリイから絶えず受けていた侮辱の恨みを、僕に向けてもたらしていたんだ。実際、ドミトリイと最初に会ったことさえ、この人の心には侮辱として刻みつけられているんだ。この人はこういう心を持った人なんだよ! 僕はいつもいつも、この兄貴にたいするおのろけばかり聞かされたわけなんだ。もう僕はここを去ってしまいます。しかしね、カテリーナさん、あなたは本当に、兄貴ひとりを愛しておいでになったんですから、そのことは御承知を願いますよ。兄貴の侮辱が激しくなるにつれて、あなたの愛もしだいに募っていくというものです。これがあなたの気ちがいじみた要求なんです。あなたは今のままの兄貴を愛しておいでになりますね、あなたを侮辱する兄貴を愛しておいでになります。もしも、兄貴の身持ちが改まったら、あなたはすぐに愛想をつかして、すててしまうに相違ありません。兄貴があなたにとって必要なのは、いつも御自分の御立派な貞操を頭において、兄貴の不実を責めたいからにすぎません。これというのも、皆あなたのうぬぼれから起こるのです。ええ、むろん、その中にはずいぶん屈従しなければならないところもあり、自分を卑下しなければならない場合もあります。しかし、とにかく、いっさいのことはプライドから来ているのです、……僕はあまり若すぎたので、あまりひどく、あなたを愛しすぎたのです。こんなことはまるっきり言う必
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