いつは変だからな。」
ヲロヂカが又かういふのです。「どうも気が変になつてゐるやうだ。色々な独話《ひとりごと》を言つて、首を振つたり、合点合点をしたりしてゐる。指図もなにもしてくれない。もうさつきから小休《こやす》みをしても好い頃になつてゐるのに、あいつはずん/\歩いてゐる。どうも変だぜ。」
わたくしもそんな気がしました。そこでブランの側へ行つて、「どうだね、あんまり急ぎ過ぎるぢやないか、少し休んだらどうだらう」と云ひました。
さうすると、ブランは一寸立ち止まつて、わたくし共の顔を暫く見てゐて、又歩き出すのです。そしてかういふぢやありませんか。「待て待て。そんなに急いで休む事はない。どうせワルキかポギバに行けば、お前達はみんな弾を食ふのだ。さうすれば、いつまでも休まれる。」
わたくし共は、呆れてしまひました。それでも喧嘩をしようとは思ひませんでした。それに最初の日には休まずに少し余計に歩いた方が好いのだといふ事も考へたのです。
又少し歩くと、ヲロヂカがわたくしをこづいて、「どうも間違つてゐるね」と云ひました。
「なぜ。」
「ワルキまでは二十ヱルストだといふ事を聞いてゐた。もうた
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