て来られそうにもないからな。」
そこで二人は馬をつれて森へ行きました。イワンは樫の葉をもんで、たくさん金貨をこさえました。
「さあ、これでいいかね。」
タラスはすっかり喜びました。
「さしあたってそれだけありゃたくさんだ。イワンよ、ありがとう。」
とタラスは言いました。
「なあにまた入るときには来なさるがいい。葉っぱはどっさり残っているからな。」
とイワンは言いました。
タラスは馬車一台に金貨をつみ込んで、商売をしに出かけました。
こうして二人の兄は出て行きました。シモンは戦に、タラスは商売に。そして、シモンは一国を平げて自分のものにし、タラスは商売で、たくさんお金をもうけました。
ところで二人の兄弟は逢ったとき、どうして兵隊を手に入れたか、どうして金を手に入れたかを話し合いました。兵隊のシモンはタラスにこう言いました。
「おれは国一つを平げて大へん立派な暮しをしている。がしかし、部下の兵隊に食わして行くだけの金がない。」
すると肥満《ふとっちょ》のタラスはこう言いました。
「おれはまた金はどっさりもうけたがそれを番するものがない。」
すると兵隊のシモンは言いました。
「
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