かね。」
とイワンは聞きました。
シモンは大へん喜んで、
「いいとも、いいとも。イワンよ全くありがとう。」
と言いました。
「なあに。」
とイワンは言いました。
「もっと入るようなら、また来なさるがいい。今年は麦藁はたくさんあるし、いくらでもこさえてあげるから。」
兵隊のシモンは早速その兵隊を指揮をして、隊伍をととのえると、戦《いくさ》に出かけました。
兵隊のシモンが出かけてまもなく、肥満《ふとっちょ》のタラスがやって来ました。タラスは昨日のことを聞いたのです。タラスはイワンに、こう言いました。
「お前はどこから金貨を手に入れたのだね。資本《もとで》さえありゃ、おれは世界中の金《かね》をみんな手に入れることが出来るんだがな。」
イワンはおどろきました。そして言いました。
「そりゃ本当かね。なら、もっと早くわしに言ってくれればよかった。わしはお前さんの好きなだけこさえてあげることが出来たに。」
タラスは喜びました。
「じゃ、手桶に三ばいだけおくれ。」
「いいとも、いいとも。じゃ森の中へ来なさるがいい。いや、待ちなさい、いいことがある。馬をつれて行こう。とてもお前さんだけじゃ持っ
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