七

 あくる朝、兵隊のシモンはそれを聞いて、イワンのところへ出かけました。
「おい、お前はあの兵隊をどこからつれて来て、どこへつれて行ったんだ。」
とたずねました。
「それを聞いてどうするんだね。」
とイワンは言いました。
「どうするってお前、兵隊さえありゃ何でも出来るよ。国一つでも自分のものになる。」
 イワンはびっくりしました。
「ほう? じゃ何だって早くそう言わなかったのだね。私はいくらでも好きなだけこさえることが出来たのに。まあよかった。妹とわしとでたくさん麦を打っといて。」
 イワンは兄を納屋へつれて行って言いました。
「だがいいかね、わしが兵隊をこさえたらお前さんはすぐつれて行かなきゃいけないよ。兵隊をこっちで養うことになると、一日で村中食いつぶされてしまうからな。」
 シモンは、その兵隊をみんなつれて行くことを約束しました。そこでイワンは、こさえにかかりました。イワンが一束の麦藁を麦打場へほうり出すと、ぽんと一隊の兵隊があらわれました。また一束ほうり出すと、別の一隊があらわれました。こうしてたくさん作ったので、畑中一ぱいになってしまいました。
「もういい
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