無表情の表情
上村松園
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)弾《ひ》きもの
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)想われるほどの[#「想われるほどの」は底本では「想われほどの」]
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◇
私は前かたから謡曲を何よりの楽しみにして居りまして、唯今では家内中一統で稽古して居ります。松篁夫婦、それから孫も仕舞を習っているという工合で、一週に一度ずつは先生に来て頂いているという、まあ熱心さです。
家の内の楽しみもいろいろあります。私や松篁など、絵のことはそれは別としまして、茶もあれば花もあり、また唄いもの弾《ひ》きもの、その他の遊芸などもありますが、その中で謡曲、能楽の道はなんといっても一とう物深く精神的でもあり、芸術的でもあって飽きがきませんのみか、習えば習うほど、稽古を積めば積むほど娯《たの》しみが深くなってゆきまして、大業《おおぎょう》に申せば、私どもの生活のすぐれた糧《かて》となって居ります。
◇
能楽に用いる面ですが、あれは佳《よ》いものになると、よく見れば見るほど微妙なもので感心させられます。
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