たような微妙な幻想にさえ引きこまれて、息もつけずにその夢幻的な世界に魂を打ちこんでしまうのです。
私はこの能楽の至妙境《しみょうきょう》は、移して私どもの絵の心の上にも置くことができましょうし、従って大きな益を受けることができると思いますので、ますます稽古に励むつもりでいますし、また人にも説くこともあります。
私はこの頃、皇太后陛下の思召によります三幅対の制作に一心不乱になっております。これは今から二十一年も前に御仰せを蒙ったものですが、いろいろの事情に遮られて今日までのびのびになっていることが畏《かしこ》く存ぜられますので、他の一切のことを謝絶していますが、間々《あいあい》の謡曲の稽古だけは娯しみたいと思っております。
底本:「青眉抄・青眉抄拾遺」講談社
1976(昭和51)年11月10日初版発行
1977(昭和52)年5月31日第2刷
初出:「大毎美術 第十六巻第三号」
1937(昭和12)年3月
入力:川山隆
校正:鈴木厚司
2008年10月15日作成
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