は人一倍あおあおとし瑞々しかった。母は毎日のように剃刀をあてて眉の手入れをしていた。いつまでもその青さと光沢を失うまいとして、眉を大切にしていた母のある日の姿は今でも目をつぶれば瞼の裏に浮かんでくる。
私は幼いころのいちばんものごとの記憶のしみ込む時代に母の青眉をみて暮していた故か、その後青眉の婦人を描くときには必ず記憶の中の母の青眉を描いた。
私のいままで描いた絵の青眉の女の眉は全部これ母の青眉であると言ってよい。
青眉の中には私の美しい夢が宿っている。
底本:「青眉抄・青眉抄拾遺」講談社
1976(昭和51)年11月10日発行
入力:鈴木厚司
校正:小林繁雄
2004年5月8日作成
青空文庫作成ファイル:
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