帯の巾が広すぎる
上村松園
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)繻珍《しゅちん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)櫛|笄《こうがい》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き](昭和六年)
−−
只今では帯といっておりますが、慶長時代では巻物と申しておったようでございます。絹羽二重は二つ割りにして、又支那から渡来いたしました繻珍《しゅちん》だの緞子《どんす》などと申しますものは、三つ割りに致して用いておりました。その後鯨帯と申しますものが出来、これが変化して今日の帯となったのでございます。確かなことは申せませんが、享保年間の帯巾は五、六寸位であったと思います。そして元禄時代の振袖は一尺七、八寸からせいぜい二尺位でございましたでしょう。
振袖は男女ともに元服以前につけたものが、だんだん若いお女中に用いられたものでございます。昔はこの振袖も至って短かく寛文時代で女の振袖の長さが一尺五寸、左右合わせて六尺となっております。ところが漸次これが風流に取り扱われて長くなりました。今日では帯が極度に発達致しましたし
次へ
全3ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
上村 松園 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング