、きものも訪問着など出来まして真に立派な服飾時代に入りましたが、現在の帯は余りに広巾すぎて、私達は今後何とか改良されるべきものであるという事を考えさされています。勿論これは私の好みではありますが、もっと現在の帯を簡略にして巾をせばめ、結び帯つけ帯をつける工合に進んでゆくのではないかと思います。
現になにわ帯なぞが出来ております事は、明らかにこの帯の推移を物語るものでないかと思います。
婦人の素足の窺える事は、これを見る人々の感じで悪くも見えましょうが、私といたしましては日本のきもののもつ裳裾《もすそ》の感じが真に自由で美しいものと考えております。然しきものは袖の簡略と美観を保つために元禄袖のように風流に仕立てたいと思います。
何しろ若い方は日本の古い服装になじまず、新しい方面ばかりを御覧になっておりますので、きものの美しさや京風髷の魅力を余りおかんじになっていないかと存じますが、私達の娘時代の頃は櫛|笄《こうがい》をつけました。そして銀のピラピラ簪《かんざし》を前の方に飾ったものでございますが、鼈甲《べっこう》の櫛笄が灯影に栄え銀簪がちらちらひかる様子は、何と申しましても綺麗なも
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