にもなり、順序が誠に具合よくいきまして気持ちもちいんとしずかに落ちつき、そして具合よく迅速に、その上気持ちよく仕事が終るわけでございます。
これと申しますのも、或は火事にあいまして、火の怖さを知り、火の大事さを覚え、それがいつか火を七輪におこしますとき私に火を丁重に扱わせたのでございましょうが、それからというもの、私は何事によらず、凡てを七輪の場合のように致しまして、随分とそれまでの無駄なことをせずにすますことができた次第でございます。
このことは、絵を描く上にも、そのままあてはまるもののようでございます。何ということなし雑然とかかりましては、あれやこれやと騒ぎたちあわてるばかりで、失敗も多いわけになるわけでございますが、その始め、順序に要るものを並べ、大体の手順を決めてからかかりますと、まことに具合よくするすると絵も思う存分に描けますし、筆も大体の手順が決っていますと、すぱすぱすぱすぱと大胆に走りまして少しも渋滞したりちびたりするところなく、その上きわめて速やかに仕事も綺麗に仕上がると申しますもの、随って出来ましたものも一入活きてくるようでございます。まことに何かと我身にひいての
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