狂って、せないでもいいあわてかたをやるのだと気づいたのでした。
それからは、火を七輪に起こしますにも、まずさきにカラニシをしき、しいたら柴をきちっと揃えておき、揃えたら炭をちゃんと側へおき、それからスリギをすって硫黄につけてカラニシにつけるように、始めからちいんとそれらのもの一切を揃えてからかかることにしたのでした。
カラニシと申しますのは、前夜の火の残りを火消壺に入れて消しました極めて軽い、炭のことでして、すぐ火になるものでございます。それだけにすぐ灰にもなりやすいものでございますが、火になると同時にその上に、かた炭を工合よくおきますと、極めて速やかにおきますし、随って手間どらず何の雑作もなく茶も早く、ちいんとわきます。それを何の順序も用意もなくしますと、やれスリギだ、やれかた炭だ、やれ薬罐《やかん》だとその度に立ち動いている間に、カラニシはもとの灰となって、又もとの始めからやり直さねばならぬといった始末、私もそれと気づくまでは、随分とそうしたことを繰り返したものでございました。
全く、何事によらず、その順序を逆えずに要るものを最初に順に並べて置いてものごとをいたしますと、経済
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