み申したようでございますし、増して、言わずもがなの極めてやさしいそして極めて些細なことでお笑草になることとは存じますが、何事によらず近頃のことを見るにつけ聞くにつけ、やはりその始め充分な用意と順序がなく、ただ一時の思いつきとか感情とかで始めたからのことではないかと思いますにつれ、こうしたことも、近頃一入感じている次第でございます。
誠に順序といったものは一見ばかばかしい程たやすいもののようでございますが、やってみますと、なかなかのことで、私にそうしたことを身にしみて覚えさせてくれました火事の日の夜や、嫁ぎました姉、この姉も一昨年はやこの世を去りましたが、輝かしい二千六百年を迎えます今、丁度五十年前の昔を、尊くも、今ここに考えだしている次第でございます。
[#地付き](昭和十五年)
底本:「青帛の仙女」同朋舎出版
1996(平成8)年4月5日第1版第1刷発行
初出:「美術殿」
1940(昭和15)年1月号
入力:川山隆
校正:鈴木厚司
2009年6月11日作成
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