三人の師
上村松園
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)反古《ほご》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)筆一|途《すじ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)谷口香※[#「山+喬」、第3水準1−47−89]
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鈴木松年先生
私にとっては鈴木松年先生は一番最初の師であり、よちよちあるきの幼時から手をとって教えられ一人あるきが出来るようにまで育てあげられた、いわば育ての親とも言うべき大切な師なのである。
松年先生の画風というのは四条派のしっかりしたたちで、筆などもしゃこっ[#「しゃこっ」に傍点]とした質のもので狸の毛を用いたのをよくお使いになっていられた。
先生は決して刷毛を使われなかった。刷毛のような細工ものは芸術家の使うものではない、画家はすべからく筆だけによるべきである――と言われて、普通刷毛を必要とするところは筆を三本も四本もならべて握りそれで刷毛の用をなされたのである。
雄渾な筆致で、お描きになって
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