鴛鴦の睦まじさに見立てたわけなのでしょう。芝居では椀久《わんきゅう》の嫁さんが結っており、三勝半七のお園の髪も確か鴛鴦だったと思います。
 昔のおしどりがそのままでは今様にしっくりしないというので、私はそれではぐるりを桃割にし輪毛《わげ》をおしどりにしたらどんなものかしらといったことがあります。京都で日本髷の実際家達がさみどり会[#「さみどり会」に傍点]という会を作って研究しているのがありますが、ある時その会の人が出て来て、何か新しい髷型を考案してくれといわれましたので、私は髷をおしどりにして、ぐるりを江戸ッ子にしたらどんなものでしょうといってやりましたが、早速それをやって見せられました、これはなかなかそれがよいものでした。

     裂笄

 年増の人には裂笄《さきこうがい》が何ともいえない情のあるものです。形はちょっと島田崩しに似たところがありますが、嫁いで子供でも出来たという年頃の人が、眉を落としたりしたのにしっくりします。

     流行

 はわせ[#「はわせ」に傍点]にしても裂笄にしても、その他今は廃っていて芝居などに型の残っている髷のいいのがいくらでもありますが、ああ
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