らうといへば、おてるわ、かんしんした。
○同二十五日。あめもふる。ひもてる。きつねの、よめいりか。

       同断中略。

○七月六日。たなばたの、うたにとて、よむ。
  ひととせに。こよいあうせの。あまのかわ。わたらばいまや。水まさるらん。
  あわぬが、よい。
○同七日。かねてたのみし、ひとの、かへられければ、さてさて、つまらぬ。ひとつとして、わがおもふことの、かなわぬわ、こよひなり。なれども、一つここに、たのしみあり。かぜまかせに、くらして、けいこが一ばん。
○同八日。あさ。てぬぐひかけを、あさがほにとられた。おさく。さみせんにて、たなばた。おちか。琴にて、むしのね。
○同九日。みなみな、かへる。さても、あついこと、やれやれ、あつや。これでわ、どこへもゆけぬわい。ひとあめふらねば、すずしうわならぬか。よしよし、あそぶぞ。こしを据ゑて、をれば、いろいろのことを、おもひだすなり。さてまた、いよのくに、まつやまから、けいこを、たのむけれど、ゆけば三ねん、かかる。ゆかねばすまず。はて。なんとしたが、よかんべい。それについて、うたを、よんだ。きいてもくんない。
  みみなくば。などかこころの。まどわまし。きかぬむかしぞ。こひしかりける。
○同十日。そら。あしく。てりもせず、ふりもせず。そして、わしわ、すまぬことをしたわい。あやまり、あやまり。
○同十一日。うてん。さて。めづらしき、さたを、きく。
○同十二日。気が、さゑん。あんらくじにて、もりかねの、うたざらゑあり。ひるは、さらさら汗がでる。よるわ、ぞろぞろ雨がふる。はだしで、もどつた。やぶれがさ。

       同断中略。

○八月二十日。おかやが、びいどろ(硝子)の、とつくり(徳利)を、くれた。うてん。いとを、しめたばかり。とみよしやに、ねたりける。
○同二十一日。うてん。ひるからわ、あめもあがり、やれ、いそがしや、いそがしや。はいやに、とまる。
○同二十二日。こあさ。さみせんで、ななくさを、はじめる。しげのの、おりう。さみせんで、いうぞら。けふわ、さみせん、よく鳴りまし候。はいやに、とまる。
○同二十三日。たいさんじにて、ついぜん、あいすみ。
○同二十四日。とみよしやにて、むかいびきをする。同よる。あめがふる。
○同二十五日。たつのこくにいでて、かわみなみ村おのみちやへ。きく弥が、琴で、ゆうがほを、ひいたが
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