徒党について
太宰治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)以《もっ》て
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十|把《ぱ》一からげ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)公然と[#「公然と」に傍点]
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徒党は、政治である。そうして、政治は、力だそうである。そんなら、徒党も、力という目標を以《もっ》て発明せられた機関かも知れない。しかもその力の、頼みの綱とするところは、やはり「多数」というところにあるらしく思われる。
ところが、政治の場合に於いては、二百票よりも、三百票が絶対の、ほとんど神の審判の前に於けるがごとき勝利にもなるだろうが、文学の場合に於いては少しちがうようにも思われる。
孤高。それは、昔から下手《へた》なお世辞の言葉として使い古され、そのお世辞を奉られている人にお目にかかってみると、ただいやな人間で、誰でもその人につき合うのはご免、そのような質《たち》の人が多いようである。そうして、その所謂「孤高」の人は、やたらと口をゆがめて「群」をののしる。なぜ、どうしてののしるのかわけがわからぬ。ただ「群
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