にして長々と水面にからだを浮かせたままこちらの岸に近づいて来た。アヤは、この時、立ち上つた。一間ばかりの木の枝を持ち、黙つて走つて行つて、ざんぶと渓流に突入し、ずぶりとやつた。私たちは眼をそむけ、
「死んだか、死んだか。」私は、あはれな声を出した。
「片附けました。」アヤは、木の枝も一緒に渓流にはふり投げた。
「まむしぢやないか。」私は、それでも、まだ恐怖してゐた。
「まむしなら、生捕りにしますが、いまのは、青大将でした。まむしの生胆は薬になります。」
「まむしも、この山にゐるのかね。」
「はい。」
私は、浮かぬ気持で、ビールを飲んだ。
アヤは、誰よりも早くごはんをすまして、それから大きい丸太を引ずつて来て、それを渓流に投げ入れ、足がかりにして、ひよいと対岸に飛び移つた。さうして、対岸の山の絶壁によぢ登り、ウドやアザミなど、山菜を取り集めてゐる様子である。
「あぶないなあ。わざわざ、あんな危いところへ行かなくつたつて、他のところにもたくさん生えてゐるのに。」私は、はらはらしながらアヤの冒険を批評した。「あれはきつと、アヤは興奮して、わざとあんな危いところへ行き、僕たちにアヤの勇敢な
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