意外わが贈物、浮ぶ『西太后の船。』
そもそも北京《ペキン》郊外万寿山々麓の昆明湖、その湖の西北隅、意外や竜が現われた。とし古く住む竜にして、というのは嘘。
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おじさんが、いま牢《ろう》へはいっているんだったら、いいな。そうすると私は、毎日、大得意で、ニュウスをお送りできるのだけれど。新聞を読むと、ちゃんと書いて在ることなのに、なぜみんな、あんなに得々と、欧洲の状勢は、なんて自分ひとり知っているような顔をしているのでしょう。可笑しいと思います。
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三、ジャピイは、この二、三日あまり元気が無いのです。日中は、ずっとウツラウツラしています。このごろ、急に老けた顔つきになりました。もうきっと、おじいさんになってしまったのでしょうね。
四、サビガリ君は、白衣の兵隊さんにお辞儀をなさいますか? あたしは、いつも『今度こそお辞儀をしましょう。』と決心しながら、どうしても、できませんでした。それが、此の間、上野の美術館に行く途中、向うから白衣の兵隊さんが歩いていらっしゃいました。あたし、こっそりあたりを見まわして、誰も居りません
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