て、それから小声で囁《ささや》き合い、三人の所持の金子《きんす》全部、一歩金《いちぶきん》三十八、こまがね七十目ばかり取り集め、門口に捨てられてある小皿《こざら》の上に積みかさね、足音を忍ばせて立ち去った。狭い露路から出て、三人一緒にほっと大きい溜息をついた途端に、
「ふざけた真似《まね》をするな!」と背後に利左の声、ぎょっとして振りむくと利左衛門は金子を載せた小皿を持ち息せき切って、「人の家へやって来て、お茶も飲まずに帰り、そのうえ、こんな犬の糞《くそ》みたいなものを門口に捨てやがって、人間の附き合いの法も知らねえ鼻ったれ小僧め。よくもよくも、月夜の利左をなめやがったな。もう二度とふたたびお前たちの鼻の下の長いつらを見たくねえ。これを持ってとっとと帰れ!」と眼の色をかえて喚《わめ》き、「馬鹿にするな!」と件《くだん》の小皿を地べたにたたきつけて、ふっと露路の夕闇《ゆうやみ》に姿を消した。
「いや、ひどいめに遭った。」と吉郎兵衛は冷汗をぬぐい、「それにしても、吉州も、きたない女になりやがった。」
「色即是空《しきそくぜくう》か。」と甚太夫はひやかした。
「ほんとうに、」吉郎兵衛は、少し
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