](胸算用《むねさんよう》、巻二の二、訛言《うそ》も只《ただ》は聞かぬ宿)
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遊興戒
むかし上方《かみがた》の三粋人、吉郎兵衛《きちろべえ》、六右衛門《ろくえもん》、甚太夫《じんだゆう》とて、としは若《わか》し、家に金あり、親はあまし、男振りもまんざらでなし、しかも、話にならぬ阿呆《あほう》というわけでもなし、三人さそい合って遊び歩き、そのうちに、上方の遊びもどうも手ぬるく思われて来て、生き馬の目を抜くとかいう東国の荒っぽい遊びを風聞してあこがれ、或《あ》るとし秋風に吹かれて江戸へ旅立ち、途中、大笑いの急がぬ旅をつづけて、それにしても世の中に美人は無い、色が白ければ鼻が低く、眉《まゆ》があざやかだと思えば顎《あご》が短い、いっそこうなれば女に好かれるよりは、きらわれたい、何とかして思い切りむごく振られてみたいものさ、などと天を恐れぬ雑言《ぞうごん》を吐き散らして江戸へ着き、あちらこちらと遊び廻《まわ》ってみても、別段、馬の目を抜く殺伐なけしきは見当らず、やはりこの江戸の土地も金次第、どこへ行っても下にも置かずもてなされ、甚《はなは》だ拍子抜けがして、江戸にもこ
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