げっぷばかり出て悲しさ限りなく、
「お前さんはもう帰れ。わしはこれから一寝入りだ。眼が覚めた頃には、お産もすんでいるだろう。」と、いまは、わが嘘にみずから苦笑し、ごろりと寝ころび、
「本当にもう、帰ってくれ。その顔を二度とふたたび見せてくれるな。」と力無い声で歎願《たんがん》した。
「ええ、帰ります。」と蕾は落ちついて、客のお膳《ぜん》の数の子を二つ三つ口にほうり込み、「ついでに、おひるごはんを、ここでごちそうになりましょう。」と言った。
 客は眼をつぶっても眠られず、わが身がぐるぐる大渦巻《おおうずまき》の底にまき込まれるような気持で、ばたんばたんと寝返りを打ち、南無阿弥陀《なむあみだ》、と思わずお念仏が出た時、廊下に荒き足音がして、
「やあ、ここにいた。」と、丁稚《でっち》らしき身なりの若い衆二人、部屋に飛び込んで来て、「旦那、ひどいじゃないか。てっきり、この界隈《かいわい》と見込みをつけ、一軒一軒さがして、いやもう大骨折さ。無いものは、いただこうとは申しませんが、こうしてのんきそうに遊ぶくらいのお金があったら、少しはこっちにも廻してくれるものですよ。ええと、ことしの勘定は、」と言
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