から、面白くない事おびただしい。おまけにこの太鼓たるや、気まりの悪いくらい真赤な塗胴で、天女の舞う図の金蒔絵《きんまきえ》がしてあって、陽《ひ》を受けて燦然《さんぜん》と輝き、てれくさくって思わず顔をそむけたいくらい。しかも大きさは四斗樽《しとだる》ほどあって、棒を通して二人でかついでも、なかなか重い。女房はじめは我慢して神妙らしく担いでいても、町はずれに出て、杉林にさしかかる頃からは、あたりに人ひとりいないし、そろそろ愚痴が出て来る。
「ああ、重い。あなたは、どうなの? 重くないの? ばかにうれしそうに歩いているわね。お祭りじゃないんですよ。子供じゃあるまいし、こんな赤い大鼓をかついでお宮まいりだなんて、板倉様も意地が悪い。もうもう、あたしは、人の世話なんてごめんですよ。あなたたちは、人の世話にかこつけて、お酒を飲んで騒ぎたいのでしょう? ばかばかしい。おまけにこんな赤い太鼓をかつがせられて、いい見せ物にされて、――」
「まあ、そう言うな。ものは考え様だ。どうだい、さっきの、お役所の前の人出は。わしは生れてから、あんなに人に囃《はや》された事は無い。人気があるぜ、わしたちは。」
「何
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