の中を通り抜け、さらに三丁、畑の間の細道を歩き、さらに一丁、坂をのぼって八幡宮《はちまんぐう》に参り、八幡宮のお札《ふだ》をもらって同じ道をまっすぐに帰って来るよう、固く申しつける。」との事で、一同これは世にためし無き異なお仕置きと首をかしげたが、おかみのお言いつけなれば致し方なく、ばかばかしくもその日から、夫婦で太鼓をかついで八幡様へお参りして来なければならなくなった。耳ざとい都の人にはいち早くこの珍妙の裁判の噂《うわさ》がひろまり、板倉殿も耄碌《もうろく》したか、紛失の金子の行方も調べずに、ただ矢鱈《やたら》に十人を叱《しか》って太鼓をかつがせお宮参りとは、滅茶《めちゃ》苦茶だ、おおかた智慧者《ちえしゃ》の板倉殿も、このたびの不思議な盗難には手の下し様が無く、やけっぱちで前代|未聞《みもん》の太鼓のお仕置きなど案出して、いい加減にお茶を濁そうという所存に違いない、と物識《ものし》り顔で言う男もあれば、いやいやそうではない、何事につけても敬神崇仏、これを忘れるなという深いお心、むかし支那《しな》に、夫婦が太鼓をかついでお宮まいりをして親の病気の平癒《へいゆ》を祈願したという美談がある
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