立って、固く抱き合い、姉は思わずお念仏を称《とな》え、人の末は皆このように焼かれるのだ、着物も何もはかないものだとふっと人の世の無常を観じて、わが心の恐しさに今更ながら身震いして、とかくこの一反の絹のためさもしい考えを起すのだ、何も要らぬと手に持っている反物を谷底の煙めがけて投げ込めば、妹もすぐに投げ込み、わっと泣き出して、
「姉さん、ごめん、あたしは悪い子よ。あたしは、姉さんをたったいままで殺そうと思っていたの。姉さん! あたしだって、もう十六よ。綺麗な着物を欲しいのよ。でも、あたしはこんな不器量な子だから、お洒落《しゃれ》をすると笑われるかと思って、わざと男の子みたいな事ばかり言っていたのよ。ごめんね。姉さん、あたしはこのお正月に晴衣が一枚ほしくて、あたしの絹を紅梅に染めて、そうして姉さんの絹を裏地にしようと思って、姉さん、あたしはいけない子よ、姉さんを刀で突いてそうしてお母さんには、姉さんが旅人に殺されたと申し上げるつもりでいたの。いまあの火葬の煙を見たら、もう何もかもいやになって、あたしはもう生きて行く気がしなくなった。」と意外の事を口走るので、姉は仰天して、
「何を言うの? 
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