ではない。わしだって、若い時には間違いもやらかした。わるいようには、しなかったのだ。でも、もうおそい。こんなに評判が立ってからだと、具合が悪い。馬鹿だ。お前たちは、馬鹿だ。だめですよ。いくら泣いても、だめですよ。お父さんも、呆《あき》れました。それで? レヤチーズは、全部を知っているのかね。」
オフ。「いいえ。兄さんは、そんな事なら生かして置けないと、言っていました。」
ポロ。「そうだろう。レヤチーズの言いそうな事だ。まあ、レヤチーズには黙っているさ。此の上あいつが飛び出して来たら、いよいよ事だ。いやな話だねえ。女の子は、これだから、いやだ。ふん、オフィリヤ。お前は、クイーンの冠を取りそこねた。」
三 高台
ハムレット。ホレーショー。
ハム。「しばらくだったな。よく来てくれたね。どうだい、ウイッタンバーグは。どんな具合だい。みな相変らずかね。」
ホレ。「寒いですねえ、こちらは。磯《いそ》の香がしますね。海から、まっすぐに風が吹きつけて来るのだから、かなわない。こちらは、毎晩こんなに寒いのですか?」
ハム。「いや、今夜はこれでも暖いほうだよ。一時は、寒かったがねえ
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