新ハムレット
太宰治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)他《ほか》に
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)初|謁見式《えっけんしき》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号)
(例)※[#「言+墟のつくり」、第4水準2−88−74]語《うわごと》
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はしがき
こんなものが出来ました、というより他《ほか》に仕様が無い。ただ、読者にお断りして置きたいのは、この作品が、沙翁《さおう》の「ハムレット」の註釈書でもなし、または、新解釈の書でも決してないという事である。これは、やはり作者の勝手な、創造の遊戯に過ぎないのである。人物の名前と、だいたいの環境だけを、沙翁の「ハムレット」から拝借して、一つの不幸な家庭を書いた。それ以上の、学問的、または政治的な意味は、みじんも無い。狭い、心理の実験である。
過去の或《あ》る時代に於《お》ける、一群の青年の、典型を書いた、とは言えるかも知れない。その、始末に困る青年をめぐって、一家庭の、(厳密に言えば、二家庭の、)たっ
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