ろ、なんだか、いやな噂がお城にひろがっているようですけど、誰も本気に噂しているわけじゃなかったのよ。あたしのところの乳母や女中は、そんな芝居が外国で流行《はや》っているそうですね、面白く仕組まれた芝居ですね、なんてのんびり言チて居りますよ。まさか、此のデンマークの王さまと王妃さまの事だ等とは、ゆめにも思っていない様子でございます。みんな、のどかに王さまと王妃さまをお慕い申して居ります。それでいいのだと思うわ。本気に疑って、くるしんでいなさるのは此のエルシノア王城で、ハムレットさま、あなたぐらいのものなのよ。父がゆうべ、正義の心から朗読劇をやったそうですが、それはまた、どうした事でしょう。ちょっと、あたしにも、わかりません。きっと父は、興奮したのよ。とても興奮し易い父ですから。あたしには、父のする事を、とやかく詮議《せんぎ》立てする資格も無し、また女の子は、父たちのなさることを詮議立てしたって何もわからないのが当り前の事ですから、あたしは、はっきりとは言えませんけれど、でも、あたしは父を信じています。また、王さまをも信じています。王妃さまは、もとからあたしの尊敬の的でした。なんでも無いの
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