ふとした迷いから、結んだ昔の約束を、絶えず囁《ささや》く。ひそひそ語る。
あなたもっと強く抱いて!
ああ、おろかしい過去のあやまち。
あたしは、だめだわ。

花聟。(ホレーショー。)

私が、ついている。
なくなった人のことを今更おそれるのは、不要の良心。
私が、ついている。
あやしい者は、どこにもいない。
風の音がこわかったら、しばらく耳をふさいでいなさい。

亡霊。(ハムレット。)

おいで。
耳をふさいでも、目をつぶっても、わしの声は聞える筈、わしの姿も見える筈。
行こう。
さあ、行こう。
むかしの約束のとおりに、わしはお前を大事に守ってあげるつもりだ。
お前の寝床の用意もしてある。醒《さ》めることの無い、おいしい眠りを与えてくれる佳《よ》い寝床だ。
さあ、おいで。
わしの新居は泥の底。ともかくも、ひたむきに一心不乱に歩いて、行きついた道の終りだ。
さあ、行こう。わし達の昔の誓いを果すのだ。

花嫁。(ポローニヤス。)

あなた。
もう、抱いてくださるには及びませぬ。だめなの。
こがらしの声のあの人は、無理矢理あたしを連れて行きます。
左様なら。
あたしがいなくなっても気を落さ
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