、たったいま、よほど立派そうに見える男のかたでも、本心は一様にびくびくもので、他人の思惑ばかりを気にして生きているものだ等とおっしゃっていながら、すぐそのお口の裏から、レヤチーズをおほめになるなんて、可笑《おか》しゅうございます。兄だって、やっぱり本心は、そんなところでございましょう。それは兄が、ハムレットさまに較《くら》べては、少し武骨《ぶこつ》で、しっかり者のところもありますけれど、でも、あんまり、はっきり割り切れた気持で涼しく生きている者は、かえって私たちを淋しくさせます。あたしは兄を、決してきらいではないのですけど、でも、兄に何でも打ち明けて語ろうという親しい気持は起りません。父に対しても同じ事でございます。あたしは、わるい娘、いけない妹なのかも知れません。仕方が無いのでございます。肉親に、したしみを感じないで、かえって、――」
王妃。「ハムレットだけに、親しみを感じているというわけですね。つまらない。およしなさいよ。恋に夢中になっている時には、誰だって自分の父や兄を、きらいになります。当り前の事じゃありませんか。本当に、あなた達の言うことを、真面目《まじめ》に聞いていると馬
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