ましたね。ことしは、いつもより、春が早く来そうな気がします。芝生も、こころもち、薄みどり色になって来た様じゃありませんか。早く、春が来ればよい。冬は、もう、たくさんです。ごらん、小川の氷も溶けてしまった。柳の芽というものは、やわらかくて、本当に可愛《かわい》いものですね。あの芽がのびて風に吹かれ、白い葉裏をちらちら見せながらそよぐ頃《ころ》には、この辺いっぱいに様々の草花も乱れ咲きます。金鳳花《きんぽうげ》、いらくさ、雛菊《ひなぎく》、それから紫蘭《しらん》、あの、紫蘭の花のことを、しもじもの者たちは、なんと呼んでいるか、オフィリヤは、ご存じかな? 顔を赤くしたところを見ると、ご存じのようですね。あの人たちは、どんな、みだらな言葉でも、気軽に口にするので、私には、かえって羨《うら》やましい。オフィリヤたちは、あの、紫蘭の花を何と呼んでいるのですか? まさか、あの露骨な名前で呼んでいるわけでもないでしょう。」
 オフ。「いいえ、王妃さま、あたしたちだって、やっぱり、同じ事でございます。幼い時に無心に呼び馴《な》れてしまいましたので、つい、いまでも口から滑って出るのです。あたしばかりではな
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