れからまた新富町の研究所へ引返した。
それこそ一時ジャストである。僕は、アパートの階段をのぼった。来ている。来ている。二十人くらい。でもまあ、なんて生気《せいき》の無い顔をした奴《やつ》ばかりなんだろう。学生が五人。女が三人。ひでえ女だ。永遠に、従妹《いとこ》ベット一役《ひとやく》だ。他は皆、生活に疲れた顔をした背広姿の三十前後の人たちである。全然、芸術に縁のないような表情の、番頭さんみたいな四十男もいる。不思議な気がした。みんな神妙に、伏目《ふしめ》になって、廊下の壁に寄りかかり、立ったりしゃがんだりして、時々、ひそひそ話を交わしたりしている。暗い気がした。ここは、敗残者の来るところではないかと思った。自分まで、なんだか、みじめになったような気持がして来るのである。この人たちがきょうの、僕の競争相手なのかと思ったら、うんざりした。戦わずして、闘志を失った感じであった。僕が試験官だったら、一瞥《いちべつ》して、みんな落第だ。僕は、自分の今朝までの、あの興奮と緊張とを思い出し、むしゃくしゃして来た。ばかにしていやがると思ったのだ。
やがて事務所から中年の婦人が出て来て、
「番号札をお
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