正義と微笑
太宰治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)山路《やまじ》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)一週間|経《た》つと
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「鹿/章」、第3水準1−94−75]
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[#ここから5字下げ、ページの左右中央に]
わがあしかよわく けわしき山路《やまじ》
のぼりがたくとも ふもとにありて
たのしきしらべに たえずうたわば
ききていさみたつ ひとこそあらめ
[#ここから17字下げ]さんびか第百五十九
[#ここで字下げ終わり]
[#改ページ]
四月十六日。金曜日。
すごい風だ。東京の春は、からっ風が強くて不愉快だ。埃《ほこり》が部屋の中にまで襲来し、机の上はざらざら、頬《ほっ》ぺたも埃だらけ、いやな気持だ。これを書き終えたら、風呂《ふろ》へはいろう。背中にまで埃が忍び込んでいるような気持で、やり切れない。
僕《ぼく》は、きょうから日記をつける。このごろの自分の一日一日が、な
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