のようでもないし、まさか令嬢でもないだろう。気品が足りない。
「先生は御在宅ですか。」
「さあ。」あいまいな返事である。ただ、にこにこ笑っている。少し蓮《はす》っ葉《ぱ》だけど、感じはそんなに悪くない。親戚《しんせき》の娘さん、とでもいったところかも知れない。
「紹介状を持って来ましたけど。」
「そうですか。」娘さんは素直に紹介状を受け取った。「少しお待ち下さい。」
まずよし、と僕は、ほくそ笑んだ。それからがいけなかった。しばらくして娘さんが、また庭のほうからやって来て、
「ご用は、なんでしょうか。」
これには困った。簡単には言えない。まさか紹介状の文句のとおりに、「御指南を受けに来ました。」とも言えない。それでは、まるで剣客みたいだ。もじもじしているうちに、カッと癇癪《かんしゃく》が起って来た。
「いったい先生は、いらっしゃるのですか。」
「いらっしゃいます。」にこにこ笑っている。たしかに僕を馬鹿にしているようである。あまく見ている。
「紹介状をごらんにいれましたか。」
「いいえ。」けろりとしている。
「なあんだ。」僕は、この家全体を侮辱してやりたいような気がした。
「お仕事中で
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