以上に高くなった。「これから斎藤氏という難関もある。なかなかの頑固者らしいじゃないか。津田さんも、ちょっと首をかしげていたね? まあ、誠実をもってあたってみるさ。紹介状、持ってるだろう? ちょっと見せてくれ。」
「見てもいいの?」
「かまわない。紹介状というものはね、持参の当人が見てもかまわないように、わざと封をしていないものなんだ。ほら、そうだろう? 一応こっちでも眼をとおして置いたほうがいいんだよ。読んでみよう。いや、これぁ、ひどいなあ。簡単すぎるよ。こんな程度で大丈夫なのかなあ。」
僕も読んでみた。ばかに簡単である。友人、芹川進君を紹介します、先生の御指南を得たい由《よし》にて云々《うんぬん》という大まかな文章である。具体的な事柄《ことがら》には一つも触れていない。
「これでいいのかしら。」僕は、心細くなって来た。前途が、急に暗くなったような気がして来た。
「いいんだろうよ。」兄さんにも、自信が無いらしい。「でも、ここに、友人、芹川進君と書いてあるが、この、友人、というところが泣かせどころなのかも知れない。」いい加減な事ばかり言っている。
「ごはんにしようか。」僕は、しょげてし
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